コンテスト授賞 |
第1回 P&I パテントコンテスト パテント・オブ・ザ・フロンティア |
2004年11月8日
特許番号 特許 第3021272号
発明の名称 「熱電変換材料用粉末及びその燒結体」
特許番号 特許 第3248985号
発明の名称 「P型熱電素子」
特許権者 山口大学長、宇部興産株式会社
受賞者名 松原覚衛(山口東京理科大学教授) 長尾 圭吾
発明としての技術的特徴
本発明は、熱電変換素子に関する発明である。特に、材料開発に関しては、いまだにはっきりとした方向性が見出せない状況にあるなかで、一つの材料開発の可能性を示すものとして当発明は貴重な研究成果である。また、本発明を通じて示唆されている研究テーマの重要性及び材料開発の必要性は、今後の熱電素子の研究開発の基礎及び契機として位置づけられ、高く評価されるべきものと認められる。
特許権としての特徴
本特許は、シンプルな特許請求の範囲の記載であり、広範囲な権利である。しかし、本特許の価値は、むしろ今後の市場開発に大きく依存しており、現状として評価するのは、限界がある。ただし、少なくとも、過度な限定はされておらず、また、一定の実施例も開示されており、今後の当該技術を基礎に発展した場合には、基本特許となる可能性を秘めている。
市場面から見た評価
本発明が取り扱う熱電素子は、環境問題への配慮を考えると、非常に多様な分野で採用され得るため、潜在的な市場は莫大である。熱源を供給する環境及び電気を必要とする環境は、公共設備、家庭、乗物等、日常生活のあらゆる場面に起きており、適用箇所には事欠かない。課題は、いかにして、研究成果を活用した実績を出し、市場開発に興味を抱かせるかという研究テーマ自身のマーケティング戦略である。
東京工業大学精密工学研究所 P&Iパテントコンテスト事務局 幹事:益 一哉、大嶋洋一